人は1日に60,000回、選択すると言われています。
「うっています」を変換して「売っています」「打っています」「撃っています」などの中から選択します。
無意識の内に選択しているのは脳に負担がそこまでないそうです。
選択の中には時間を取って思い悩んで選択することがあります。
今日は何を着ようかな。何食べようかな。
スティーブ・ジョブは大事な選択をする時のために、同じ服を何着も買い、毎日決まった服を着ているそうです。
無駄な選択で脳を疲労させないということですね。
僕も野球をしている上で、この無駄な選択について、強く感じたことがあります。海外での生活というアブノーマルな環境の中で、野球をするというのは、ストレスを多く感じるものです。特に、多くストレスを感じた日には、試合中の判断が鈍いなと感じることが多くなります。慣れ親しんだ日本にいると、食事もほぼノンストレスで選択できると思います。例えば、アルゼンチンの公用語はスペイン語ですが、レストランでメニューを見ても、これはなんて書いてあるのか悩み、少ない情報の中から選択します。そして、英語が話せる店員さんを探します。ストレスというのは、無駄な選択に脳を使うことなのかもしれません。このような日常の細かいストレスが海外では多いです。ストレスだと感じていなくても、脳は疲労していて試合で細かいところで判断の鈍さが出るのだと思います。
バッター目線からすると、まずボールかストライクか。振るか振らないか。変化球かまっすぐか。変化球ならどう曲がるか。どうボールに対して当てるか。どっちの方向に打つか。このような選択をコンマ何秒の間にする必要があります。一々、考えている余裕はないので体で反応している感覚ですが、確実に選択はしています。この選択のために脳に無駄なストレスを与えず、選択する脳の体力を残しておく必要があると言えると思います。
日本の子供たちは試合前、試合中に、やること(やらされること)が多すぎて、ちゃんと脳を最大限にパフォーマンスに使えているのかなと思うことがあります。
選択することに、もっとも重要な「情報.データ」についても少しお話ししたいと思います。アメリカの野球はデータ野球であり、サード、ショートが1,2塁間を守るような極端なシフトを見たことがあるとうい方も多いと思います。
これは打者のデータ上、1,2塁間に打球が飛ぶ確率が高いのでこのようなことになります。野球は確率のスポーツと言われますが、より確率の高い方にというのは戦略上、理解ができます。ここまでのシフトは過度であり、逆方向に打たれたらなど、このシフトには賛否あるのも確かです。それは、また別の話題にもなるので、興味があれば聞いてください。
ここで考えて欲しいのは、データを元に、プレイヤーが信用していることと、失敗のリスクについてです。
データに基づいて選択する場合、決めたら信じ切ることが大事です。
「いや、でもなー。こっちって決めたけど、あっちかもな。あー選択ミスったかな。」なんて考えていることが勝負事では、1番危険です。
失敗のリスクに過敏なのが、日本人です。例えば、このバッターは8割の確率で1,2塁間にボールが飛ぶ。そこで、上の画像のようなシフトを敷いたとします。「もし、2割の方が出たらどうする?誰が責任とる?無難に行こう。」というパターンが多いと思っています。そこは、日本人の良いところでもあるのは、事実です。リスク管理、失敗への執着が日本製品の安全性を産んでいると言って間違い無いでしょう。日本では日々、比較的安全にストレスなく生活できるのも、これのお陰と言えるでしょう。
ただ、同じ失敗に対しても捉え方が違うように思います。
「特殊なことをして、失敗すること」
「普通のことをして、失敗すること」
特殊なことをして、失敗した人に対しての当たりの強さは異常だと感じます。
特殊なことをしているだけで「どうせダメ」と失敗待ち。
常識というものに縛られた普通の人は特殊な人の失敗が大好物です。
特殊な人の成功を目にすると、あれは特別。と別物として考えます。
子供には、個性満載。人と違うのは当たり前でどんどん挑戦させてあげて欲しいです。
前述した、選択してしまったら信じ切ること。それを、可能にするのは頭のネジを何本か抜くか。データをガチガチにしっかりしたものにするか。の、どちらかです。
いずにれせよ、ちゃんと納得してプレイすることが大事です。
小学生最後の試合に挑むYくんに、「一緒にハスキーでやってきたことが間違いじゃなかったって証明できるのは、Yくんしかいない。結果はどうであれ、思いっきりここでのスイングを見せて欲しい。」と話しました。
結果は、見事にハスキーでの練習通り、低めを地面に膝をつけながらのセンターオーバーを打ってくれました。現地で試合観戦していましたが、とても感動した瞬間でした。
その後、卒団式でYくんは、「Yくんの野球は常識的じゃない。」と言われたそうです。
常識=普通なら、普通の選手はプロに行けないので、普通じゃないYくんはプロに行けるという最高の褒め言葉です。
人とは違う、自分にしかないスタイルを貫いた小学6年生。
最高にかっこいいです。
誇りに思います。
もしかしたら、歯車を止めているのは、常識という頭のネジかもしれません。