「非合理的な硬直性」

前回からの続き、3つのテーマの2つ目です。

日本の野球の歴史は長いです。ベースボールが野球になり、世界大戦でベースボールの国が敵国になったことにより、野球はベースボールと違うスタイルに強く変わっていきました。高校野球の今のスタイルになったのは何故なのか。まるで軍隊のような練習。丸刈り。指導者の言うことは絶対。

これは、体力のある若者が学生時代に軍隊のような体験をすることにより、卒業後、即戦力として軍に召集できることが目的だったのです。現在では丸刈りでなくてもいいチームも増えてきましたし、パワハラ問題などから少しの変化はあったとしても昔ながらのスタイルが色濃く残っています。

このスタイルが今でも良しとされており、それを美学だと強く信じている人が多いです。先輩、指導者が見えたら即座に脱帽から角度まで揃えた礼。過度なガッツポーズの禁止。明らかな誤審に対する抗議もできない。高校生らしく。あくまでも教育の一貫。

笑顔で手を振り、こんにちは。さようなら。嬉しい時は大きくリアクションを起こし、時にはガッツポーズ。おかしいと思うことには意義を唱える。

後者の方が明らかに学生らしく思いませんか?

ハスキーでは僕に対して敬語を使う必要はありません。

帰りの時間も「コーチ、バイバイ!」と笑顔で手を振ってくれます。

いい挨拶は相手も自分も気持ちがいいと言いますよね。

軍隊式挨拶よりも笑顔で手を振ってもらった方が僕は遥かに気持ちがいいです。

学生野球はロボット制作工場ではありません。

少し前までは野球をやっていた子は、上の言うことをよく聞くので使い易いと就職する時に有利に働いたりしていました。今もまだ残っていると思います。

そんな悲しい採用理由ありますか?

もちろん、根性があるなどの理由もありますが、ほとんどの場合が理不尽から耐える根性です。

今後、AIが普及する世の中では、24時間体制で人間の言うことを聞いて忠実に作業をこなす本物のロボットがどんどんと生まれてきます。

ロボットのように言うことを聞くだけの人材は1番の被害者になるでしょう。

自分の気持ちに正直で感受性が豊か。多角的に物事を考えられる。

困難に対しても自分の頭で考え、打開策を見つけられる人間が必要です。

指導者の指示に「はい!はい!」と大声出している場合ではないです。

あまりにも非合理的な暗黙のルールのようなものに飲み込まれており、その中にいたら疑問にも思わない。日本人は、一度作り出したシステムを変えることを極端に嫌う傾向にあると言われています。状況が変わり、システムが非合理的になったとしても、変えようとしない。

大きく変わるのはいつも、破滅寸前や本格的に危機感を感じた時です。

変わってからは、変わる前のことが嘘のように切替え、慣れるまでのスピードが異常に早いというのも特徴です。変わってしまえば浸透も発展も早いのです。

昨日まで、ちょんまげに刀の人間が、欧米からの危機を感じた瞬間に諸外国に追いつけ追い越せと、あんなに大事にしていた刀をペンに変え、最新技術を学び、最新兵器を作ります。それが、ニューノーマルとなり、進み続けます。中にいるものはそれが正しいと疑いません。

その結果、次のニューノーマルの訪れが来るのは、日本が焼け野原になってからでした。破滅するまで気付かない。昨日まで、あんなに嫌っていた敵国の人にギブミーチョコレートと言いい、数年で新たな価値観が完成します。変化してしまえば早い。お手本を見習い、新しいスタートから成長するのも早い。こうして焼け野原から経済大国に爆速で駆け上がっていく訳です。

イギリスのジョークで「どうか日本人がクリケットの存在に気付きませんように。」というのがあります。日本人はある目標を見つけ、それに追いつけ追い越せになった時に、異常な成長力を見せるのはスポーツも同様なようです。様々なスポーツで日本が強豪国を倒す場面は目にしたことがあると思います。そんな、日本人がクリケットの存在に気づいてしまったら、瞬く間に強敵へと駆け上がって来るであろうという、危機感を表したジョークになります。

問題は成長した後に、ここまでこれで成長した。これで上手くいっていた。と、聞く耳を持たず、時代が変わり、過去の成功例が非合理的になったとしても考え方を硬直させてしまう所にあるのではないかと思います。

この問題点が、次の3つ目のテーマ「過去が基準の考え方」にも深く関わっていると思います。

日本の大きな転換期にニューノーマルを作り上げてきたのは、いつも若い世代です。

僕の世代か。今20代の教え子の世代か。今の10代達か。その先か。

ハスキーの目的の中に記されている一文をもう一度、紹介させてください。

「日本の未来を担う大切な子供達が将来、強い力を発揮してくれることを目的にしています。」

この記事を書いた人

【代表】船田拓哉